読むランニングクリニック
(一財)千葉陸上競技協会 著作
2.「基礎練習編」
ここでは「基礎練習編」Part1(6月上旬)とPart2(6月中旬以降)、Part3(7月上旬~)に分けて、2ヶ月間でランニングは、ハーフマラソン(21.0975km)で7km前後、フルマラソン(42.195km)で10km前後を走れる体作りを目指します。初めてランニングをされる方は、それぞれハーフマラソン2時間半~3時間、フルマラソン5~6時間という長時間、体を動かし続けます。とにかく長時間の運動に耐えられるだけの体(脚力)作りをすることが必要です。この時期は、梅雨の季節となり雨も多く湿度と気温が高くなりますので、雨の日のトレーニングの工夫、練習する場所、時間帯(涼しい時間帯)を考えて練習してください。また、汗を多くかきますので水分補給も忘れずにしてください。ちばアクアラインマラソン2018では参加者のうち、20歳代~50歳代が全体の約9割を占めました。仕事をしながらの出場となりますのでトレーニングのできる日や時間帯が限られますが、休日や夜間の時間などを活用し、週に2日はトレーニングを行いましょう。
Part1:まずはウォーキングから!(6月~)
ランニングを開始すると、脚にかなりの衝撃がかかります。着地時の衝撃は体重の3倍以上と言われています。まずは脚力づくりの導入としてウォーキングから行います。最初の2週間は、1週間に2回程度のウォーキングから始めましょう。ウォーキングを通して全身運動としての体作りや、ランニングシューズに慣れることなどの大切な期間となります。また、トレーニングの前後には必ず準備体操・整理体操やストレッチングを行ってください。走る前後に行うことにより、筋肉が伸びて関節などの可動領域が広がりケガの予防にもなります。
≪ウォーキングの際の注意点として≫
①姿勢を正しく
背筋を伸ばして、頭の上から引っ張られているイメージで。両手で握り拳をつくり、腰の後方から軽く押し出すようにして歩くと、腰の入ったウォーキングとなります。その際に、反りすぎないように注意してください。
②腕をリズミカルに
肘の角度は約90度くらいに曲げ、腕振りは通常の歩行よりも大きく振りましょう。手首に力を入れすぎると上半身、特に肩に力が入りすぎます。
③足の裏全体で着地しましょう。
週2~3回のトレーニング以外にも時間に余裕がある場合は、日常生活の中でも体作りをしましょう。普段エレベーターやエスカレーターなどを利用している人は階段を! 電車利用の人は、1つ手前の駅で下車して次の駅までウォーキングで! など、マラソンのための体作りをしましょう。
・まずはウォーキングから始めよう!
・少し早歩きで、軽く汗をかく程度で歩こう!
・トレーニングの前後には、体操やストレッチングで怪我の予防を!
・疲れたら、ウォーキングの途中に休憩や水分補給を!
マラソン
初心者A(ランニング初心者) | 初心者B(マラソン未経験者) | |
---|---|---|
① | ウォーキング20分~30分 | ウォーキング30分~40分 |
② | ウォーキング30分~40分 | ウォーキング40分~50分 |
ハーフマラソン
初心者A | 初心者B | |
---|---|---|
① | ウォーキング15分~20分 | ウォーキング20分~30分 |
② | ウォーキング20分~30分 | ウォーキング30分~40分 |
〔初心者A〕①・②とも、最初の2週間はペースは気にせずウォーキングをしましょう。散歩と違い、少し速いペースで行いましょう。
〔初心者B〕1週目はペースを気にせずに、2週目からは余裕があれば、途中に速いウォーキングや、ゆっくりのランニングを入れても良いでしょう。
Part2:ゆっくりランニング開始!(6月中旬~)
ウォーキングを開始してから2週間が過ぎました。ランニングシューズも足に慣れてきたことでしょう。いよいよランニングを開始します。
・ランニングはあくまで気持ちよく、呼吸が乱れない程度のペースで!
・週に2~3日は必ずトレーニングを行いましょう!
・ランニング中に苦しくなったらウォーキングに!
・もう少し走れるという人も、ケガの防止を考えて無理をせずに!ケガでトレーニングを中断することなく日々トレーニングを行い、体(脚力)を作りましょう。
・ウォーキングやランニング以外に補強運動を!腹筋、背筋、腕立て(きつい人は膝立)で、スクワット(バーベルは使用しません)運動などの体幹トレーニングを行いましょう。
マラソン
初心者A | 初心者B | |
---|---|---|
① | 1.ウォーキング10分 2.ランニング10分~20分 3.ウォーキング10分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング20分~30分 3.ウォーキング10分 |
② | ウォーキング30分~40分 | ウォーキング40分~50分 |
③ | 1.ウォーキング10分 2.ランニング20分~30分 3.ウォーキング10分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング30分~40分 3.ウォーキング10分 |
ハーフマラソン
初心者A | 初心者B | |
---|---|---|
① | 1.ウォーキング10分 2.ランニング10分 3.ウォーキング10分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング20分 3.ウォーキング10分 |
② | ウォーキング20分~30分 | ウォーキング30分~40分 |
③ | 1.ウォーキング10分 2.ランニング20分 3.ウォーキング10分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング30分 3.ウォーキング10分 |
初心者A・Bともにペースは気にせず、無理をせず走りましょう。初心者Bは余裕があれば、ランニング前のウォーキングは少しペースを上げてみてください。
Part3:ランニングに慣れてきたら、より長く走ろう!(7月~)
「基礎練習編」も Part1・Part2と約1ヶ月のトレーニング期間で、体(脚力)も慣れてきたことだと思います。Part3の7月~トレーニングも1週間で4~5日間となります。少しずつランニングの時間や走行距離を延ばしていきましょう。ただし、気温も高くなりますので決して無理をしないでください。
・喉が渇いたり汗をかいた場合は、ランニングの途中でも水分補給を!
・熱中症に注意!時間に都合がつけば、日中暑いときのランニングは避け、早朝や夕方・夜間の時間にランニングを行ってください。
マラソン
初心者A | 初心者B | |
---|---|---|
① | 休養 | 休養 |
② | ウォーキング40分~50分 | 1.ウォーキング10分 2.ランニング20分~30分 3.ウォーキング10分 |
③ | 1.ウォーキング10分 2.ランニング15分 (1+2)×2セット 3.ウォーキング5分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング20分〜25分 (1+2)×2セット 3.ウォーキング5分 |
④ | 休養またはウォーキング | 休養またはウォーキング |
⑤ | 休養 | 休養 |
⑥ | 1.ウォーキング10分 2.ランニング30分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング40分 |
⑦ | ランニング45分~60分 | ランニング60分~80分 |
ハーフマラソン
初心者A | 初心者B | |
---|---|---|
① | 休養 | 休養 |
② | ウォーキング30分~40分 | 1.ウォーキング10分 2.ランニング10分~20分 3.ウォーキング10分 |
③ | 1.ウォーキング10分 2.ランニング10分 (1+2)×2セット 3.ウォーキング5分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング15分〜20分 (1+2)×2セット 3.ウォーキング5分 |
④ | 休養またはウォーキング | 休養またはウォーキング |
⑤ | 休養 | 休養 |
⑥ | 1.ウォーキング10分 2.ランニング20分 |
1.ウォーキング10分 2.ランニング30分 |
⑦ | ランニング30分~40分 | ランニング40分~60分 |
〔初心者A〕まだランニングのペースは意識せずに、その日のコンディションや体調を考えながら時間や距離を増やしていきましょう。効果的な練習としては早朝や夜間の練習をお勧めします。汗のかきすぎによる脱水状態にならないよう、トレーニングの途中でも喉が渇く前に水分補給を行ってください。大会本番でも、給水や給食を行いますので練習にもなります。トレーニングメニューの③〈(ウォーキング+ランニング)×2セット〉のセット間は小休止や水分補給をいれてください。⑦〈ランニング30~40分〉はいよいよ距離や時間が延びます。最初の頃のランニングは余裕を持って行ってください。苦しくなったらウォーキングに変えても良いでしょう。
〔初心者B〕②〈ランニング10~20分〉・⑥〈ランニング30分〉は一定のペースで走ってもよいですが、途中や最後の1㎞ぐらいは気持ちよくペースアップして刺激を入れてみてください。③〈ウォーキング+ランニング〉の2セットは、1セット目は多少余裕を持ち、2セット目は頑張ってみましょう。⑦〈40~60分〉はゆっくりでいいので、距離・時間を増やしましょう。
1.「トレーニングを始めるに当たって」
2.「基礎練習編」(6月~7月の2ヶ月間)
3.「実践練習編」(8月~9月の2ヶ月間)